「チチブデンキ」が秋葉原から撤退

「おでん缶」の聖地として知られる老舗の電気店「チチブデンキ」が東京・秋葉原から撤退するそうだ。戦後、電気街に店を構えて半世紀以上。今月20日に店を閉めるとのこと。
チチブデンキは先代の社長が1950年に前身の店を秋葉原で開業。当初は真空管を売っていたが、1958年に洗濯機や冷蔵庫など「白物家電」の卸売業に転身し、90年代には東芝系のノートパソコンを主力とするなど、時代に合わせて商品を変えてきた。
5階建ての自社ビルの屋外に「おでん缶」の自動販売機を設置したのは1990年代初頭。飲食店が少なかった当時の秋葉原でちょっとしたブームになり、お土産用に買う人も相次いだ。自販機から出てくるのがジュースではなくおでん、という物珍しさから全国に次第に広まり、チチブデンキは「おでん缶の聖地」として知られるようになる。
おでん缶が爆発的に売れ出したのはWindows95が発売され、秋葉原に多くのパソコンマニアがやってきた1995年以降。それまで自販機だとコーンスープやおしるこはあったけれど、食べ物の缶詰を本格的にやったのはチチブデンキが最初だという。ファーストフード感覚で楽しんでもらえればと思い始めたそうだ。メディアにも取り上げられ、最盛期には月に6万缶も売れたという。
チチブデンキは2010年に店を1階から3階に移し、ビルには今ゲームセンターやメイド喫茶、女性職人が握る寿司店などが入居している。今後は店舗を構えず、ノートパソコン部品の通信販売に専念するとのこと。自社ビルもおでん缶も引き続き残るそうだ。
チチブデンキの小菅会長は閉店に際して「戦後、秋葉原の街を担ってきた各電気店ももう3代目の時代。家電やパソコンを売る電気街からオタクの皆さんやグルメの方々にも楽しんでいただける町へずいぶん様変わりしていますが、引き続き秋葉原を愛し、応援していただければ嬉しいです」と話しているとのこと。秋葉原もここ数年でずいぶん様変わりした。店舗撤退は寂しいが、仕方のないことなのだろうか。